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奈良美智の日々

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6月27日 朝


なんかうまくいかないが、うまくいくということはどんなことなんだろうか、と考え込むのは時間の無駄だ。いや、時間を考えるなんておかしいだろう。そんなラスト何分ってわけじゃなし、なんで時計を気にしなきゃいけない。じゃ、どうすればいい?

失敗を恐れずに一度、滅茶苦茶にしてしまえばいい。その投げやりに出来る勇気があって、復活すればいい。そりゃ、復活するくらいの自信はあるだろう?

そんな、俺はそれほど偉くはないのだから、挑戦者のように立ち上がればいいんだ。立ち上がる体力もあるだろう?俺は、ただ、うまくやりたいわけじゃなくて、立ち上がれなくなってしまう自分でいたくないだけなんだ。
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by ynfoil | 2010-06-27 05:58 | 日記 | Comments(0)

銀河鉄道の夜


夜汽車が好きだ。生まれて初めて乗った長距離列車が夜汽車だったからかも知れない。夕方に乗り込んで、車内に備え付けの簡易ベッドで眠り、目覚めれば朝の東京ってかんじの寝台車で、確か津軽2号って名前だったと思う。僕はそのとき高1で、友だちのコウタくんと一緒にニール・ヤングの来日公演を観に行くための上京だった。しかも僕にとっては初めての東京!という期待感と、列車がホームを離れた時から始まる旅!に2人ともワクワクしっぱなしで、そんな簡単に寝床に入れなかった。夜行寝台は夜が更けた頃には消灯しちゃうから、窓の向こうの暗闇に流れる家々の灯を肴に、大人ぶって缶ビールを飲んだっけ。

僕は今、寝台車ではないにしろ、東京から京都へと夜の新幹線で移動中で、ドミノのように並んだビルの灯を車窓から見ている。そして、なんとなく昔を思い出したわけだ。窓から見える灯は、田舎だと遠くに点在していて、都会に近づくほどに灯も窓に近づいてくる。だんだんと、暗闇に浮かんで銀河を旅する列車に乗った気分。トンネルの中はブラック・ホールでワープ中!って、一瞬だけど子どもに戻っちゃうな。トンネル抜けた先に待ってる現実は、子どもの頃に見た夢とは違うし、十代の頃ほど胸が躍るわけでもない。それでもやっぱりちょっとはワクワクしちゃうんだよな・・・



あ~あ、さっきからくしゃみが止まらない後ろの方の席のオヤジよ!俺の想像力に水をささないでくれよ~~~頼む!
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by ynfoil | 2010-06-21 23:50 | 日記 | Comments(0)

6月20日

時間を追い越すことなんて出来ないし 

未来に向かってかけっこしようなんて思わない

けれどもとやかく言う連中のように 

過去を虫眼鏡で見るようなこともしない

今を真剣に生きるだけだ 

やりたいことに精一杯

理屈を語らず手を動かすだけだ

傾向と対策は入試で終わった

自分の物語を気持ち良く描いていこう

人生に向かっては 「どうでもいいや!」

でもその一日には 「精一杯!」



今日は、精一杯な鹿の角の夢でも見られるかなぁ~

一生、馬鹿のまんまで懸命に~

気取った美意識は、やっぱ似合わない

靴下脱いで、ゴロゴロしながらテレビを見るのだ

夜がふけてきたら、昔聴いてたレコードかけて見えない友と語ろう


そしてやっぱり、過去があって今があることに感謝はするけど

未来に向けて希望的観測なんて言っちゃいられないのさ
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by ynfoil | 2010-06-21 04:44 | 日記 | Comments(0)

6月15日


梅雨前線が北関東に達した夜、僕はその北関東から東京を越え東名高速を走った。それはフロントガラスを打ち続ける雨に向かって走っているようなものだった。雨粒の軍隊は次から次と終わり無くやってくるようで、ワイパーが追いつかないといったふうだ。すべての車がのろのろと徐行運転で、高速道路なのにスローモーションの世界。しかしながら本来の僕は、雨というものがそんなに嫌いじゃない。普段、雨の降る日は本を読んだり、昔集めたレコードをとりとめもなく聴いていたりする。そして窓ごしに、雨風景を眺めたりしながら何を想うでもなくリラックスしているのだ。

それでも豪雨というのは別物だ。スタジオのトタン屋根はうるさく騒ぎ出し、必然的に僕はステレオの音量を上げて激しく絵を描いたり、ちょこまかと掃除したりする。今、車中はまさにそんな状態で、叩きつける雨に負けじとカーステレオは大音量だ。ただし絵は描けない。ちょっとしたドライブなら、そのフラストレーションが、スタジオに戻った時にがんがん描く力になるのだけど、今向かっているのは岐阜県の多治見なので、着いた頃には疲れ果てて、何をする気力もなくなっているだろう。

愛知県に入るあたりから雨足は弱まって、多治見に着いた時にはすっかり止んでいた。深夜2時近かったけど、旧知の森北邸に転がり込んだ。彼はいつものようにソファーベットに寝床をしつらえてくれていて、僕が着くまで起きていてくれたようだった。電気を消して訪れる気持のいい静寂の中、まだ車の振動に震えているような体をなだめるように、僕は布団の中で伸びをしたりしながら、お互いの近状報告を語らいながら眠りについた。
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by ynfoil | 2010-06-16 19:54 | 日記 | Comments(0)

あの頃の気持ちを忘れない

正直に書こう。

このブログはFoilから頼まれて始めた。最初は社会的なことを中心に書いてくれればいい、と言われて、出来るかもって思った。けれども、そういうことを意識するとすらすらとは書けなかった。

いくつも没にしてきたけど、これからは普通に素直に、ほんとに日々のことを淡々と記していこう。もともと日記は書いているのだし、こうして書くことで僕の作品を観る手助けにもなるだろう。

かつて僕は、1999年8月から2008年3月までほとんど1日も休まずにWeb上で日記を書いてきた。今となっては、それはもう見ることは出来ないけど、ちゃんととってあって時々は読み返す。その後harappaというNGOのHPにも日記を寄せていたのだけど、それも今年の春でやめてしまって、Twitterを始めた。Twitterは、ほんとに気分や空き時間に応じて簡単に書きこめるから、今のとこずっと続いてて、これからも当分は続いていくと思う・・・なんだかんだ言って楽しいから。

これからは、ごくごく普通に淡々と、ほんとに日々ってかんじで、ここに書いていくと思います。


それにしても、日記を寄稿してたHAPPY HOURというnaoko.さんという人が99年に作ってくれたファン・サイトには感謝してもしきれない。そのサイト、今はもうないのだけど、個人で働きながら毎日のように更新してくれたのはすごいことだったと思う。その行為に答えるためにも、僕は毎日のように日記を公開した。

あの頃、ひとりぼっちでドイツのケルンという町にいて、日々孤独に制作していた僕にとってnaoko.さんのHAPPY HOURと、そこに集う人々の書き込みが、どれほど力になったかは張本人のnaoko.さんたちにも決して、決して、わかりはしないだろう。あの時に、今いる作家としての自分が立ち上がったと自覚している。

最初の月の日記から・・・1999年8月24日

■ファインエンターテイメント

 ふと一息かえる時、五感に身を任せれば全てのものが素晴らしいエンターテイメントに変わる。それは、たとえば見慣れた夕焼け空。走り去る車の排気音。脳裏を横切るあの懐かしい記憶でもいい。エンターテイメントはそれ自体が目的だ。手段なんてなんでもいいと僕は思う。好奇心が、それ自体に存在理由をもつように、常にいつだって何処にだって僕の心を動かすものが在り、考え楽しむ自分がいる。真のエンターテイメントとは、そんなものであるべきだと思う。

 人種や偏った文化を超越し、個人も森羅万象のひとつにすぎず、それでいてそれ自体がかけがえのないもの。そんなものだ。そう考えれば、僕らすべて、子猫のミャ-子も犬のポンタも皆素晴らしいエンターテイナーじゃないか?そして心底楽しめないか?そうやって自問自答すれば然り、期待しないところにこそ楽しみは横たわっているんだろうな。そして、そう気付かせてくれるのが、他ならぬファイン・エンターテイメントなんだろう。


Never, NEVER Forget Your Beginner's Spirit!

あの頃の気持ちを忘れない!
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by ynfoil | 2010-06-15 01:54 | 日記 | Comments(0)

香港にて


夏の暑さは北国育ちの僕にとっては厳しくて、少しでも外に出ればへたってしまい、冷房がギンギンに効いてるところへ逃げ込みたくなるのだけど、毎日が熱帯夜の南国の人々にとっては暑いのは当たり前だ。時は5月、まだまだ暑さは序の口の香港だけど、道路工事の人々はみんな上半身裸で滝のような汗を流しながら働いている。けれども、僕にとっては30度を超えるとやっぱりきつく、直射日光を避けるように軒下ばかり歩き、買うものなんて何もないのにコンビニを素通りできず、店内に入っては読めない雑誌をぱらぱらめくったりしている。それでも3、4日もするとコンビニ休憩の数も少なくなり、なんとなくではあるけれど暑さに順応し始めているから人間の体って不思議だ。でもまぁ、それは香港に住む友だちと遊び始めたからだろう・・・

最初は車に乗っけてもらって移動してたのだけど、そのうち地下鉄、香港名物の2階建てバスやミニバスで移動するようになり、行くところもガイド本に載ってるようなとこではなく、超ローカルな場所ばかりになっていった。それは彼らにとってもある意味なにかなければ行かないような場所でもあり、つまりは『蛇料理の店』とかだったのだけど。

僕らはそこで蛇スープを注文し、それがけっこう美味い、というか鶏の中華スープのような味。でも具の量が多くて汁が少なかったのと、店内にたくさん飾られてる蛇入りの透明なガラス瓶や、はがされた大蛇の皮とかに囲まれて食べるので、冷静に味わえてはいなかったから本当に美味かったかは思い出せない。でも、暑い戸外を歩き回った後でフウフウ息を吹きかけながら食べる蛇スープは、やっぱりなにか必然的な食べ物に思えるから不思議だ。

香港在住のハワードがいろいろアテンドしてくれて、他にMollyっていうフィギアの作者ケニーと台湾からやって来たレスリー。レスリーは米芽米咕人(Mia and the Migou)っていうアニメ映画のアニメータで、ハワード以外は今回初めて会った。僕は別段アニメ好きでもフィギア好きでもないけど、なんかアニメ好きな中学生が集まってる気分。そうそうハワードとはもう6年くらいの付き合いになるのかなぁ。僕の作品からフィギアを作りたいっていってきて、結局3年くらい待ってもらって『Sleepless Night』ってのを作った。他のフィギアと差をつけたくて限定にして、全部手塗りで、わざわざ箱にも古色を付けたっけ。今度は木彫りのフィギアを制作する予定で、その打ち合わせも兼ねて僕はやって来た。試作品はまぁまぁだったから、それなりに面白いものができそうだ。

台湾人のレスリーと僕は、ほんとにこれでもかというほどに香港料理を食べさせられた。そして、そのどれもが美味しかった。それが蛇でもトカゲでも、蛙や鶏の足でも美味しかった。そしてデザート類もしかり。有名なマンゴプリン系の行列の出来る店はもちろん、下町の喫茶店で食べた卵クッキーも美味かった・・・

ケニーの奥さんの実家にもおじゃました。実家は小さな商店で、亡くなった人に捧げるお札の束や線香なんかを売っている。そこに隣接する香港的なアパート。ひとつのフロアーに数世帯住んでいる。雰囲気のある古い廊下に洗濯物が干されていたりする。こんなところにおじゃまできるのも香港朋友のおかげだ。

5月31日お昼過ぎ、空港に向かった。去りづらい・・・そして、書きたいことはもっとあるけど、今回はこれまで!
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by ynfoil | 2010-06-05 19:23 | 日記 | Comments(0)